本物の江戸前穴子とは………
『階段ノ上ノ食堂』の初夏のメニューと言えば、穴子なんですね。
『穴子って言ったって、回転寿司屋さんでもあるし、スーパーのお惣菜売場にだってあるじゃな~い』
って言う方もいらっしゃるからも知れませんね。では、穴子は好きですか?
好きならば、どういう点が好きですか?
甘いのが好き?それは、穴子じゃなくて、タレが好きなのでは??
では、当店の穴子が他と違う所は?
『階段ノ上ノ食堂』では、【羽田沖の浅場】の穴子“しか”、使いません。そこが大きな違いです。
江戸前の良いところは、東京湾に流れてくる河川からの豊富な栄養の水が外湾への出口の狭い東京湾内に溜まり安い、という点が、実は『世界有数の漁場』と言われる程なんです。
ですが、工業排水などで問題になったこともありますが、技術の進歩で過去とは比べ物にならないほど水質は良化しているようです。
世に出回ってる[江戸前穴子]は確かに東京湾で捕れるものですが、東京湾といっても広いわけです。房総半島先の方で取れた物も、海ほたるの辺りで取れた物も、一緒くたにされて一括りで【江戸前穴子】とされるそうです。
ですが、その東京湾の中で一番良い穴子が捕れるのは、『羽田沖の浅場』とされています。羽田の辺りは東京湾の中でも水深が比較的浅い浅場になっていて、多摩川からの栄養が他の場所と比べても溜まり易いようです。ですが、水深が浅い分、水上の環境の影響を受けやすく、強い雨風になると、途端に取れなくなってしまい、他の地域と比べても圧倒的に漁獲量が少ないようです。
なので、その場所で漁を行う漁師さんはいないそうです。ですが、一人の漁師を引退した90歳を越える老人が半分趣味のような形でその場所で漁をしていました。そして、その穴子を扱う穴子屋さんは横浜に一軒だけあります。ある縁でその方と知り合うことができ、その穴子を仕入れられています。もう、長い付き合いになるので、ある程度の量は割り当てていただけますが、如何せん、もともとの量が少なかったり、とれなかったり、こちらの思うようにはいきません。まぁ、それが自然と向き合う、ってことなんでしょうけど。
で、その穴子はどうなのかっていうと、甘さを着けて煮ていますが、『穴子の味』はちゃんのしていて、柔らかく煮ても崩れない。これがこの江戸前穴子の特徴です。他の産地の穴子ですと、同じように柔らかくしようとすると、形が崩れてしまうものがほとんどです。トロけさせるの、難しくありません。ですが、ふっくらとトロけさせる、これがなかなかできないのです。『トロふっくら』が江戸前穴子です。
天然鰻のように、良質な穴子はお腹の白い部分の色が黄色がかっていて、『金穴子』なんて呼ばれることも。
ある時、ない時、ありますが、今シーズンも金穴子、ご賞味ください😊